「中学受験、した方がいいのかな…」
そう思って調べてみたものの、情報が多すぎてよく分からない。気づけば検索履歴は「中学受験 メリット」「私立 公立 違い」「中学受験 ストレス」などなど…。そんな経験、ありませんか?
中学受験は、家庭の数だけ答えがあるテーマです。
一概に「したほうがいい」「しなくてもいい」とは言えません。
だからこそ、まずは親としての「軸」を持っておくことが大切です。
この記事では、塾講師として多くのご家庭を見てきた経験をもとに、中学受験を考えるうえで大切な3つの視点を丁寧に解説していきます。
視点1:子どもの性格や学習スタイルに合っているか
中学受験は小学生にとって初めての“本気の受験”です。
塾に通い、宿題に追われ、模試で順位が出る…。
中学受験はしなくても学校には行けます。それをあえてするのですから、負担がかかるのは当然です。
確かに、中学受験におけるメリットは非常に大きいです。
しかし、その一方で、無理な受験がお子様の学習意欲を低下させてしまうケースも良くあります。
その環境が、お子様の性格に合っているかどうかを見極めることは、とても大切です。
たとえば、
- 競争心が強く、成績が上がることに喜びを感じるタイプ
- 計画的にコツコツ頑張れるタイプ
- 先生や親のアドバイスを素直に聞き入れられるタイプ
こういった特性がある子は、中学受験の環境と相性が良いと言えます。
一方で、
- 人と比較されるのが苦手
- プレッシャーに弱い
- 自分のペースを大切にしたい
といったタイプのお子様には、受験のストレスが大きくのしかかる可能性もあります。
小学生のうちは、学習習慣をつけることに重点を置き、高校入試に向けての準備をするという方がうまくかもしれません。
しかし、中学受験を経て、大きく成長する子もたくさんいます。「向いてない」=「中学入試を受けてはならない」と判断するのではなく、その子に合った学習スタイルや声かけを探ることがポイントです。
視点2:家庭のライフスタイルや価値観と合っているか
中学受験は、子どもだけの挑戦ではありません。
家庭全体の協力とサポートが必要です。
たとえば、
- 塾の送迎や勉強のフォローを、家庭でどれだけ担えるか?
- 塾代・教材費・受験料・交通費などの経済的負担を想定しているか?
- 合格後の6年間、私立中高一貫校での生活に納得しているか?
これらの視点を抜きに「とりあえず受験させようかな」と始めてしまうと、途中で「こんなはずじゃなかった…」と後悔してしまうこともあります。
一般的に、高学年になるにつれ、塾の授業日数や宿題も増え、経済的負担も大きくなります。本人が受験に対して乗り気になってきたタイミングで親が音を上げると、親子間の信頼関係にも影響をします。入試が終わるまで、しっかりとサポートし続けることができるのかというのも大事な視点です。
また、「親が納得していないのに受験させる」と、子どもにも不安が伝わります。
中学受験は、親の覚悟も問われる選択なのです。
視点3:「合格のその先」を見据えているか
見落とされがちですが、実は一番大切なのがこの視点です。
受験は通過点。その先の学校生活のイメージがあるかどうかで、受験の意味が変わってきます。
たとえば、
- どんな校風で、どんな生徒が多いのか
- 先生方はどんな教育をしているのか
- 部活動や課外活動の環境は整っているか
など、実際に学校を訪問したり、説明会に参加したりして、学校ごとの個性を肌で感じることが大切です。
塾によっては偏差値ばかりを進路指導の基準として、いわゆる「受験者確保」のための進路指導を行うところもあるかもしれません。
しかし、偏差値だけで判断してしまうと、「思っていたのと違う…」となることもあります。
偏差値が高い学校ほど、お子様に合うというわけではありません。
「うちの子にはどんな6年間が合いそうか」という視点を大切にしてみてください。
合格してからのビジョンがしっかりと見えていないと、せっかく志望校に合格しても、中学校での学習についていけなくなった例は山ほどあります。「燃え尽き症候群」のようにならないよう、今一度入学する目的を家族で共有しておくようにしましょう。
中学受験は「親子で一緒に考えるプロジェクト」
中学受験の成否は、子どもの学力だけでは決まりません。
親子のチームワーク、納得感、日々の対話が大きな鍵になります。
私がこれまで見てきたご家庭でも、親が過度にプレッシャーをかけすぎて失敗したケースや、親の「こうしたい」と子どもの「やりたい」がずれたまま進んでしまったケースもありました。
反対に、子どもが迷っている時に「どんな学校なら通ってみたいと思う?」と、未来の学校生活に目を向けた対話をしていたご家庭は、最終的に納得のいく選択をしていました。
中学入試には家族全員の「納得」と「覚悟」が必要です。受験をすることで、家族内の関係がギスギスするということがないよう、日頃から前向きな対話を心がけましょう。
その一方で、「まだ決めきれない」という気持ちも、すごく自然なことです。
焦らず、親子で対話しながら一緒に答えを探すプロセスを大事にしてほしいと思います。
🐧3つの視点をもとに、自分たちらしい答えを
迷ったときには、ぜひこの3つの視点を思い出してください。
- 子どもの性格や学習スタイルに合っているか
- 家庭のライフスタイルや価値観と合っているか
- 「合格のその先」を見据えているか
どの答えが「正解」というわけではありません。
でも、自分たちにとってベストな選択は、必ず見つかります。
この記事が、迷っているご家庭にとって、少しでもヒントになれば嬉しいです。
お子様の未来が、あたたかく、希望に満ちたものになりますように。
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