我が子に塾は必要か？迷う親御さんへ伝えたいこと

「塾に行かせるべきか？」その悩み、よくわかります。

今や、子どもが小学生のうちから塾に通うのは当たり前の時代になってきました。

「うちも行かせるべき？」「でも成績に直結するの？」「まだ早いのでは…？」
そんなお悩みを抱えている保護者の方は、とても多いです。

私も学習塾に勤めていた頃、まだ塾に通っていないご家庭とのカウンセリングで、最も多かった質問のひとつが「この子に塾は必要か」「入塾するならいつからが良いか」というものでした。

親として自分の子どもに良い学習環境を確保してあげたいという気持ちはありながらも、本人のやる気や、金銭面の兼ね合いから一歩を踏み出せないということはよくあります。

また塾と言われると、受験に向けて勉強するところ、いわゆる「お受験対策」のようなイメージを持っている保護者も多いため、「うちはそこまで…」となるケースもあります。

お子様にとって塾は必要なのか。ご家庭だけでは判断に悩むこともあるかと思いますので、今回は塾に勤めていた経験をもとに私からお伝えしていきます。

塾は「必要かどうか」ではなく「目的に合っているか」で判断を

最初にお伝えしたいのは、塾は“全ての子にとって必要”ではないということです。
塾は、あくまで選択肢のひとつ。

塾に通うことで、学習面のサポートはしっかりとしてもらえます。
行かないよりは行ったほうが力がつく生徒は圧倒的に多いです。

しかし、塾にも様々な形式がありますので、合わないまま通っていると、時間・お金・モチベーションのすべてを消耗してしまうこともあるのです。

私は集団授業形式の塾で指導をしており、入塾を希望するたくさんの保護者様と話をする機会がありました。
塾としては、お預かりする生徒が増えることは有り難いことですから、私自身もカウンセリングでは、メリットを話しながら、「１日でも早く入りましょう」と営業トークとしてお伝えしていました。

もちろんお預かりした以上は全力で指導するのですが、
少なからず集団授業が最適解ではない生徒がいたのも事実です。

確かに、よく言われる通り、少しでも早く入塾をしたほうが、受験までに使える日数が増えるため、合格の可能性は高まるかもしれません。

しかし、だからと言って焦って塾に入れてしまっては良くありません。
塾に通えば必ず成績が上がるとは限りませんし、むしろ、「自分で考える習慣が身についていない子」が、与えられた課題をこなすだけで終わってしまうケースもあります。
そのため、お子様の学習状況や性格、ご家庭の方針と塾の指導方針や授業スタイルが合っているのかはしっかりと見極めなければなりません。
周囲の影響や焦りが判断を曇らせることがないよう、日頃からお子様の学習の状況を把握しておきましょう。

塾の役割は「家庭でできないこと」を補うこと

塾に通う最大のメリットは、「家庭だけではカバーしきれない部分をプロが補ってくれる」という点にあります。
それは科目の指導だけでなく、勉強の習慣づけやモチベーション管理も含みます。
家庭だけの学習でこれらのすべてを管理していくのはとても大変ですから、塾の必要性は十分にあると思います。

しかし、逆に言えば、家庭で十分に学習できている子には、塾は“必要条件”ではないとも言えるのです。

塾が補う主な役割は以下の通りです。

これらがすでに家庭や通信教材、自主学習で賄えている場合、塾の必要性は低くなります。

塾講師として感じた「本当に塾が効果的だった家庭」の特徴

塾に通い、最大限の効果を発揮しようと思うと、やはりある程度の条件は必要です。
以下のような条件がしっかりと達成できそうであれば、すぐにでも塾に入れていただけると、力がつくと思います。

▶子どもに目的意識があった

たとえば「この中学校に入りたい」「算数が苦手だから強化したい」といった明確な目的がある子どもは、塾の環境をうまく活用できます。
逆に、「何となく行かされている子」は、学習に身が入りづらく、成果も出にくいです。

▶家庭との連携があった

私が担当していた難関校受験クラスでは、保護者の協力体制が非常に重要でした。
特に小学生については、塾任せではなく、家庭でも子どもの学習状況を見守り、ほめる声かけをしている家庭ほど成績が伸びる傾向がありました。

塾が「必要なケース」と「必要でないケース」の違い

▶ 塾が「必要」なケース

• 受験を控えていて、自分では対策が難しい
  
• 家庭では学習習慣が身につかない
  
• 苦手な科目があり、専門の指導が必要
  
• 努力しているのに成果が出ない

▶ 塾が「不要」なケース

• 家庭で安定した学習習慣がある
  
• 通信教材で成果が出ている
  
• 親が学習の伴走者として十分に関われている
  
• 特別な受験予定がなく、学校の授業で理解できている

塾が必要かどうかは「子どもと家庭の状況」によって変わる

「塾に行く＝正解」ではなく、「塾に行っても行かなくても安心」と言える学習環境を整えることが大切です。
そのためには、以下のような問いかけをしてみましょう。

子どもの状況が見えてくると、今後補っていきたい部分が見えてきます。
我が子にとってどのようなサポートが必要なのか。
それは家庭で補えるのか、塾を使ったほうが良いのか。

塾といっても様々な形式の塾があります。
「必要かどうか」から「何が必要か」へ視点を変えることも重要です。
ぜひ時間がかかってでもじっくりと考え抜いてみてください。

子どもの学びに正解はひとつではありません。
しかし、「親が迷いながらも考え抜いた選択」は、必ず子どもの力になります。
なぜなら、一番近くでその子を支えているのは、
教育のプロである塾の先生でも、周りの人々でもなく、親だからです。

私の経験上も、焦って勢いで入塾してきた生徒よりも、入塾が遅くなってでも、家族でしっかりと話し合い、納得をしたうえで入塾してきた生徒のほうが上手に塾を活用できるケースが多かったです。

🐧まずは家庭でできることから始めましょう

塾に行く・行かないを決める前に、今のお子様の様子を丁寧に観察してみてください。
毎日の宿題の取り組み方、声かけ、目標設定等、小さな工夫の積み重ねが学力の土台を作ります。

じっくりと見ることで、お子様の勉強の癖がつかめます。
今まで気づくことのできなかった発見があって面白いですよ。

ただ、課題が見つかった際には、親だけで無理やり解決しようとするのではなく、それまでの状況をもとに、お子様の最適な学習方法を判断していきましょう。
「塾に行くか行かないか」で迷う前に、何を身につけたいのか？どんな学習が必要なのか？を親子で話し合ってみてください。
今は、通信教材やオンライン指導など、塾以外にも学ぶ手段が多くあります。
必ずしも「塾＝正解」ではありません。
大切なのは、お子さんが「どんなふうに学びたいか」を一緒に考えることです。

迷った時は、このブログにいつでも立ち寄ってくださいね。