はじめに|母親だから「ちゃんとしなきゃ」と思っていませんか?
子どもが塾に通い始めたり、受験が近づいてきたりすると、どうしてもお母さんの心の中には「もっとちゃんとしなきゃ」「私が頑張らなきゃ」という気持ちが芽生えてきます。
それは、ごく自然なことですし、むしろ我が子を思う愛情があるからこその反応なのだと思います。
ですがその一方で、「ちゃんとできていない」「周りのお母さんはもっとできているのに」という焦りやプレッシャーが心の中に積もっていって、気づけば自分で自分を責めてしまっている…。
そんなふうに疲れを感じながら、でも止まることもできない。
今日は、そんながんばり屋のお母さんに向けて、少しだけ心をゆるめるお話をお届けします。
「できる母」って、誰が決めたの?
最近は、SNSやテレビ、書籍などを通じて「理想の母親像」のようなものが簡単に目に入ってくるようになりました。
朝は早起きして栄養バランスの取れた朝食を作り、家族を笑顔で送り出し、仕事をこなしながらも子どもの学習サポートや送迎もこなす…。
そんな完璧なお母さんの姿を見ると、つい比べてしまい、「私、全然できてない」と落ち込んでしまうこともありますよね。
でも、ちょっと考えてみてほしいのです。
「できる母親」「理想的な母親」って、一体誰が決めたのでしょうか?
実はそのイメージの多くは、社会が作った枠組みであって、あなた自身の価値観や願いとは、必ずしも一致しないかもしれません。
無意識のうちに「こうあらねば」と縛られてしまっていると、自分らしさや自然な感情を置き去りにしてしまいます。
子どもにとって必要なのは、完璧な母親ではなく、“自分を大切にしてくれている人の存在”です。
そして、それは決して難しいことではありません。
子どもが本当に望んでいること
塾講師としてたくさんの子どもたちと関わるなかで、私が何度も心を動かされたのは、「子どもがうれしそうに語る、お母さんのこと」でした。
例えば、ある子は「お母さんが夜遅くまで起きててくれて、塾から帰ったときに“おかえり”って言ってくれたのが嬉しかった」と話してくれました。
また、別の子は「おにぎりを持たせてくれたとき、時間なかったはずなのに“がんばってね”って書いたふせんが貼ってあってさ…」と、照れくさそうに笑っていました。
どれも、特別なことではありません。
でも、子どもの記憶に残るのは、そういう“ちょっとしたやさしさ”なのだと、私は何度も感じさせられました。
完璧な栄養管理でも、最新の受験情報でもなく。
「いつも気にかけてくれている」という安心感、それが子どもの心に根を張り、自信や安心につながっていくのだと思います。
「ちゃんとしなきゃ」は、愛のかたち
「もっと頑張らなきゃ」「母親なんだからしっかりしなきゃ」
そう思うときって、実は自分が未熟だからではなく、それだけ子どもを思っているからこそなんですよね。
子どもの未来を願うからこそ、自分を責める。
子どもの成長を大事にしたいからこそ、自分の未熟さが気になる。
その姿勢は、決して“間違っている”わけではありません。
でも、ときには一歩引いて、「それを自分に強いすぎてはいないか?」と問い直してみてほしいのです。
がんばっているのに、毎日自分を責めているのなら、それはもう“サポート”ではなく“消耗”になってしまいます。
お母さんが笑顔でいてくれること。
それは、何よりも子どもにとって安心できる材料です。
自分をゆるめる時間、もっていますか?
家事、仕事、送迎、宿題チェック…。
気づけば1日があっという間に終わり、夜にはクタクタ。
でもそんな中でも、「もう少し○○してあげたかった」と自分を責めるお母さん、本当に多いです。
でも、たまには自分に問いかけてみてください。
「今日はどんなことをがんばった?」
「今日、子どものためにできた小さなことは何だった?」
「今日、自分に優しくできた瞬間はあった?」
そう問い直してみると、実は“できていること”の方がずっと多かったことに気づけるかもしれません。
誰かの“完璧”と比べなくていい。
あなたは、すでにたくさんがんばっている。
そのことを、どうか忘れないでください。
せっかくやるなら子どもと楽しむ
塾に入る、受験をすると決めたなら、最低限やらなければならないこと、身につけなければならない知識は決まっています。
どうせやることは決まっているのですから、せっかくやるなら、子どもと一緒に楽しんでもらえればと思います。我々でさえも子どもたちの成長に驚かされるのですから、一番近くで支えている母親であればなおさらです。
塾での勉強を「させなければならないもの」ではなく、「子どもの成長を感じられるもの」として捉えてみてください。
テストで点数が良かったときに自慢げに答案を持って帰ってくるのも、食事のときに「あの先生がこんな話してさー」と笑顔で話してくれるのも、受験が終わって「今までありがとう」と照れくさそうに感謝を伝えてくれるのも、全て塾に行っているからこそできる経験だと思います。
受験を経験すると、子ども達は本当にたくましくなります。そんなお子様の成長を一番近くの特等席で見ることができるのも母親の醍醐味じゃないでしょうか。
🐧“できる母”じゃなくて、“わたしらしい母”でいい
「できる母親にならなきゃ」と思ったときは、どうかこの言葉を思い出してください。
子どもが本当に求めているのは、完璧な母親ではなく、
「自分を信じてくれる人」の存在。
子どもにとって、あなたの存在はそれだけで十分に支えになっています。
だからこそ、“わたしらしくいること”を大切にしてください。
子どもは、「どこにでもいる母親」ではなく、「自分だけの母親らしい母親」を求めているのです。
うまくいかない日もあります。
余裕が持てない日もあります。
でも、それでいいのです。
自分に厳しくしすぎず、少しでも心が楽になるように。
そんな思いで、この記事を書きました。
最後まで読んでくださって、本当にありがとうございました。
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