家庭で子どもの勉強をサポートしていると、塾の先生の指導方針と「なんだか違うな」と感じる場面に出くわすことはありませんか?
「ズレ」を感じるのは自然なこと
塾の先生とご家庭で、学習方針や声かけの仕方に違いが出るのは決して珍しいことではありません。
塾は「集団」や「個別の成績」を見て指導方針を立てる一方、ご家庭では「わが子」の日々の様子や性格を重視して判断します。
そもそもの視点が違えば、同じ問題点に対するアプローチも異なってくるのです。
家庭内に置き換えてみても、母親は「せっかく塾に行っている以上頑張ってほしい」と思っていても、父親は「そこまで無理させなくてもいいんじゃないか」というようにズレが生じることがあります。どちらも我が子のことを思ってのことですが、意見が異なることはありますよね。このように、家庭内でも充分に発生し得ることなので、塾側とのズレを感じること自体は、自然なことなのです。
ですから、ズレが生じただけで塾に不信感を抱くのではなく、どのような部分でズレが生じているのかを確認し、塾に相談するようにしましょう。私自身も、相談を受けて初めてご家庭の考え方や方針が見え、「ではこうしてみましょう」とご提案することは多かったです。
よくある“ズレ”の具体例
実際に保護者の方からよく聞く「ズレ」の一例を紹介します。
- 塾では「どんどん問題を解け」と言われるけど、家では「きちんと復習を」と言っている
- 塾のやり方では子どもが混乱しているように見える
- 塾からは大量の宿題が出るが、睡眠時間は確保させたい
- 先生の言葉が強めで、子どもが落ち込んで帰ってくる
これらはいずれも「どちらが正しい・間違っている」ではなく、それぞれの立場や目的による“方針の違い”です。
親がとるべき基本姿勢
ズレを感じたとき、まず大切なのは「塾に任せすぎないこと」と「家庭で否定しすぎないこと」の両立です。
- 家庭は“子どもの気持ち”の通訳
子どもが何に戸惑っているか、どう感じているかを言葉にしてあげる役割は親にしかできません。 - 塾は“学習戦略のプロ”
志望校合格までの逆算や、効率的な演習指導は塾の強み。家庭とは異なる視点があるのは当然です。
つまり、両者は対立するものではなく、「目の前の子ども」を中心に連携するパートナー。
どちらも子どもにとっては重要な役割です。
ズレを感じたら、「対立」ではなく「情報交換の機会」だと捉えることで、見える世界が変わります。
塾に相談するときのポイント
塾とのコミュニケーションをスムーズにするためのコツを3つご紹介します。
- 感情ではなく“事実”を伝える
「子どものモチベーションがあがりません」「家ではこうしてみたけどうまくいきません」など、具体的な状況や反応を伝えると、塾側も対応しやすくなります。 - 子どもの性格や特性を共有する
「この子は、褒められると頑張るタイプです」「失敗をすごく引きずります」など、親にしかわからない情報を伝えることで、塾側も接し方を考え直すことがあります。 - 解決策を一緒に考える姿勢
「どうしたらうまくいくでしょうか?」と聞くことで、塾側との連携がスムーズになります。一方的に批判するのではなく、建設的な姿勢が信頼関係を築きます。
塾としてもカリキュラムは決まっていますが、全員が塾の「型通り」になるとは思っていません。それぞれに個性がありますから、塾としてのベースは示しながらも、一人ひとりをどのようにサポートしていこうかと考えています。
また、「家では甘えてばかりで自分から何もしないのに、塾ではしっかりしている」というように、お子様によっては、家での様子と塾での様子が全く違うということもあります。家庭と塾、それぞれだけからでは見えない部分がありますので、しっかりと現状を伝え、解決策を考えていきましょう。
子どもの混乱を防ぐ“家庭の判断軸”を持つ
方針がブレると一番混乱するのは子どもです。
ですから、家庭の中で「何を大切にするか」という判断軸をあらかじめ持っておくことが大切です。
例えば、
- 家庭では「一人で学ぶ力をつける」ことを重視する
- 「本人が納得して進める学習」を軸にする
- 一時的な成果より「学ぶ楽しさ」を守る
- 勉強だけでなく他の習い事も同じように力をいれる
このような軸があると、塾の方針に対しても「これは取り入れよう」「これは一部調整しよう」と、冷静に選択ができるようになります。
🐧塾との違いは“矛盾”ではなく“視点の違い”
塾と家庭でやり方が違うことに不安を感じるのは当然です。
しかし、どちらかが間違っているというわけではなく、「役割が違う」からこそ見えてくる視点の差なのです。
子どもにとって最も大切なのは、「塾でも家庭でも、自分を理解してくれる大人がいる」こと。
その安心感こそが、学習を前向きに続ける原動力になります。
ズレに気づいたら、「困った!」ではなく「チャンス!」。
子どもを真ん中に置きながら、塾とも家庭ともよい関係を築いていきましょう。
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