お子様に勉強のやる気が全くないわけではないけれど、いまいち頑張り切れない——そんなお悩みを抱えていませんか?
今回は、「勉強を頑張り切れない」子どものパターンと、家庭でできる具体的な寄り添い方についてお話しします。
本当は頑張りたい子が多い
勉強自体を投げ出してしまっている子どもが多いわけではありません。親が「頑張ってほしい」と思うように、子どもたちも心の中では「頑張りたい」と思っています。ただ、はっきりとした目標がなかったり、自分に自信がなかったりという理由で一歩を踏み出せないだけです。
大人が“味方”として寄り添うことで、子どもは本来の力を伸ばしていけます。
勉強を頑張り切れない子どものパターン3選
- 学習の目的が曖昧:「なぜ勉強するのか」が自分の中で定まっていない。
- 自己肯定感が低い:「どうせ無理」とあきらめがち。
- 勉強が受け身:自分で考える習慣が身についていない。
具体的なサポート①:子どもの「好き」を一緒に見つける
「将来の夢は?」「何が好き?」と会話の中で、学びと興味を結びつける工夫をしましょう。
日常会話の中で目標の種を育てることが大切です。
目的を持つことで、勉強は「やらされるもの」から「自分の未来のためのもの」へと変わります。
子ども達と将来の夢について話をすると、「まだ決まっていない」という生徒がとても増えたように感じます。もちろん我々の時代よりも選択肢が増えているということもあるでしょうが、そのような生徒は、自分のなかで「絶対にならなければならない」というプレッシャーのようなものを感じており、正直に自分の気持ちを吐き出せない状況であることが多かったです。
夢について話をする際にはあくまで現時点での目標で構わないことを伝えてあげてください。私自身も中学生のときは、スポーツ関係の仕事をしたいと思っていたため、教育関係の仕事をするなど全く考えていませんでした。
しかし、そのとき「好き」だったスポーツを仕事にするために頑張ったことは、全く無駄でなかったと思います。
夢は変わっても構いません。自分の将来を明るく照らす目標として設定できると良いと思います。
「何になりたいか」ではなく、「何を目指せる自分でありたいか」を見つけられると、勉強の目的に近づきます。
そのために、あくまで現時点で興味があること=「好き」なことを見つけてください。「好き」が原動力になる子どもはたくさんいます。「得意科目=好きな科目」である生徒は多いですし、「好きな先生の授業科目だけは得意になった」というケースもよくあります。身近なものでも自分が好きだと思えるものを見つけ、原動力にしてあげましょう。
その際に気を付けなければならないのが、「否定をしない」ということです。ここでの第一優先は本人のモチベーションを上げることです。頭ごなしに否定をせず、その方向なら何が頑張れそうかを一緒に考えてあげましょう。
ここで否定をすると、「わかってくれない」と感じ、将来の話をしてくれなくなります。してくれたとしても本心では話しません。「こう答えればいいんでしょ」と相手の求めていそうな答えを提示するだけです。
子ども達はまだ世間を知りません。彼らなりの狭い視野のなかで一生懸命考えた、現時点での「好き」なことです。否定をするくらいなら、一緒に調べて、視野を広げてあげてください。
本やインターネット、旅行など様々なことがきっかけになります。
子どもと一緒に「好き」をたくさん見つけ、認めることで子ども自身の勉強の目的につながります。
具体的なサポート②:成功体験を“言葉”にして伝える
「この前の漢字テスト、ミスが減ってたね!」「ノートの取り方、前より工夫できてるね!」
こうした声かけは、結果だけでなくプロセスを認める姿勢です。授業中のやり取りでもよく出てくる褒めワードです。子どもは「わかってもらえている」と感じると、自然と前向きになっていきます。
よく「家では言うこと聞かないのに先生の言うことは聞いてくれる」と言っていただく機会もあります。子どもたちからすれば、もちろん授業で知らない知識を教えてくれることに対しての尊敬もあるでしょうが、それ以上に、褒めて認めてくれる存在であるというということが大きいと思います。
家庭でも「こんなことできて当たり前」と思うようなことをしっかりと褒めてあげることが大切です。
自分から宿題を始めたのであれば、シンプルにそれを褒めてあげれば良いです。
親に言われてようやく渋々始める強者もいます。その場合は「姿勢が良い」、「いつもより解くスピードが速い」という具体的な褒めポイントが見つかるのであれば、その点を褒めてあげましょう。
どうしても見つけられない場合、「いつもよりはいい雰囲気」、「頑張るオーラが出ている」と大げさに伝え、「私も嬉しい」と一言添えて、ご機嫌になってください。
はじめは、子どもから「何か企んでいるのか」と怪しまれます。普段はボーっとしているのに、そのあたりの勘は鋭いですよね。今まで褒めてこなかった代償だと思いましょう。しかし、慣れてくると「勉強する」=「褒められる」というサイクルができてきます。
無理やりにでも褒めていると、こちらも褒めるのが上手になってきます。その頃には子どもも素直に受け取れるようになっているでしょう。目に見えるテストの結果だけでなく、子どもが気づけていないような「過程での頑張り」を褒められると自分の成功体験に気づくことができます。
成功体験を言葉にして伝えることで、自信がつき、自己肯定感も上がっていきますし、「この人と一緒にやれば成長できる」という信頼関係も築くことができます。
具体的なサポート③:「勉強しなさい」を減らし、「どうしたい?」を増やす
「宿題やったの?」「またサボってる!」ではなく、「今日はどこをやる?」「どこから始めようか?」と問いかけてみてください。
行動の主導権を子どもに渡すことで、自分で考える姿勢が身についていきます。
とはいえ、子ども任せにしたら、全く何もしなくなってしまうのではないかという不安もありますよね。ここで大切なのは、「子ども自身に決めさせる風」にすることです。選択肢は親が決めても構いません。そのなかでどれを選ぶのかを考えてほしいのです。
もちろん親が決めて実行した方が早いうえに、正しいことが多いです。
しかし、それだけでは、自分で考える習慣がはつきません。
ましてや、うまくいかなかったときに「お母さんが言ったとおりにしたのに」、「僕はこう思っていたのに」などと親のせいにし、「誰のためにやっていると思っているんだ」と腹が立ちますよね。
ですから、そういうときは「どうしたい?」と自分自身で決めさせてください。子どもですから、「なぜその選択肢を選んだ」というものを平気で選びます。それで失敗させてください。失敗しないと学びません。ただし、大失敗にはならないように、選択肢はある程度親が決めてあげてくださいね。
子どもが選んだものが失敗した際には、「だから言ったでしょ」ではなく、なぜ失敗したのか、次からどうすれば良いのかを一緒に考えていきましょう。そうすることで考える習慣が身につくのと同時に、親との感覚の擦り合わせができるようになります。
🐧子どもの心に寄り添えば、学びは動き出す
勉強を頑張れるかどうかは、現時点での学力よりも子どもの心によるものが大きいです。子どもは時に、言葉にできない不安や迷いを抱えています。ただ勉強の内容を教えるだけではなく、自分の心に寄り添ってくれる大人がいることが支えになります。家庭でできる寄り添いサポートを実践し、お子様の学びが前進してくれるとうれしいです。
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