「わかった?」と聞くと、「うん」と答える。
けれど、いざ問題に取り組ませると間違ってばかり…。
そんな経験、ありませんか?
子どもは「わかったつもり」になることがよくあります。
今回は、その“つもり”から脱却し、本当の理解へ導くための質問のしかたについてお話しします。
“わかったつもり”とはどういう状態?
「わかる」とは、本来「自分の言葉で説明できる」ことを意味します。
しかし、子どもたちの多くは、授業や説明を“聞いた”だけで「わかった」と感じてしまいがち。
この状態を「わかったつもり」と呼びます。
✔ 先生の説明を聞いて理解した気になっている
✔ 友達が答えたのを見て「そうそう」と思って満足している
✔ 解説を読んで「なんとなくわかった」と感じている
このように、知識が「自分の中で整理・定着していない状態」で「わかった」と感じることは珍しくありません。
「わかった?」の落とし穴
親としてつい口にしてしまう「わかった?」という質問。
でも、これは実はあまり意味のない問いかけです。
なぜなら、子どもたちの「わかった」の基準は大人が思っているよりはるかに低いからです。
本来、「自分の言葉で説明できる」状態を「わかった」としてほしいですが、知識の定着はしていなくても、「授業が面白かった」というだけで、「わかった!」という子は多いです。
また、「わからない」と答えるのに勇気が必要で、言い出せない子もいます。
親に心配をかけたくない。 がっかりされたくない。 できないと思われたくない——。
そんな気持ちから、「うん」と返事をしてしまう子が少なくありません。
その結果、“わかっていないのに進んでしまう”という悪循環が生まれてしまいます。
私は、授業中によく過去の自分の失敗談を交えて話をしていました。
そうすることで、「間違えても大丈夫な雰囲気」が生まれ、子どもも安心して考えを話してくれることがあります。
子どもの考えを知りたいときや、子どもが本音を言いづらそうにしているときには、ぜひ試してみてください。
本当の理解を引き出す“質問術”
では、どうすれば「本当にわかっているか」を見極められるのでしょうか。
カギとなるのが、「子どもに考えさせる質問」を投げかけることです。
具体的な質問例
- 「どうしてそう思ったの?」 → 答えの背景にある考え方を確認
- 「それって、他の問題にも使えそう?」 → 応用力・関連付けの力を確認
- 「友達に説明するなら、どう伝える?」 → 自分の言葉で説明できるかチェック
- 「間違ってたらどこが違うと思う?」 → 理解のズレを自覚させる
このように、「正解かどうか」ではなく、「どう考えたか」「なぜそう思ったか」に焦点を当てた質問が大切です。
家庭でできる“リフレクション”の習慣
塾や学校に頼るだけでなく、家庭でも“振り返り”をする習慣があると、理解は深まります。
▼ 例えば、こんなやり取りはいかがでしょうか?
親:「今日の勉強で『なるほど!』って思ったことある?」
子:「うーん、割り算の考え方が少しわかった気がする」
親:「そっか!それ、どうやって気づいたの?」
このように、“何を学んだか”よりも、“どう気づいたか”を聞くことで、子ども自身の理解を深めることができます。
“問いかけ”が親子の信頼を深める
質問は、ただ知識を確認するためのものではありません。
子どもの考えに興味を持ち、「あなたのことをもっと知りたい」という姿勢を伝えるツールでもあります。
質問の仕方ひとつで、子どもは「わかってくれている」「信じてくれている」と感じることができます。
その安心感が、子どもが自分の考えを深める土台になるのです。
🐧答えよりも“考える力”を育てよう
テストで点を取ることも大事ですが、本当に大切なのは「考える力」です。
「考える力」が身に着けば、点数は自然と上がってきます。
「なぜ?」「どうして?」「どう説明する?」という親の問いかけが、子どもを“わかったつもり”から引き上げてくれます。
今日から、「わかった?」の代わりに、「どう考えたの?」という問いかけを使ってみてください。
それだけで、子どもは少しずつ“自分の頭で考える力”を育んでいくはずです。
子どもの学びに寄り添う親の言葉は、何よりも強いサポートになります。
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